ベトナムの自動車産業の現状、方向性と課題

      2016/05/11

ベトナムの自動車産業

ベトナムで起業をされる方やこれから進出を考えている方にとって、バイクであふれているベトナムでの自動車産業の状況について知りたい方も多いと思います。ここでは、これから拡大することであろう自動車産業のその現状と方向性、課題についてご紹介していきます。

アジアの中でのベトナムの自動車産業は

ベトナムの町並みのイメージ

ベトナムでの2015年1月~11月の新車販売数は、前年比の56.6%増で21万台を超えました。伸びは大きいのですが、アジアの中でタイなどの2015年の新車販売台数95万台、インドネシアの126万台などの予想には到底届かない数字です。

ベトナムの販売台数のメーカー別では地場メーカーのチュオンハイ(Truong Hai)が4分の1のシェアで、続いて、トヨタが20.8%のシェアを誇っています。トヨタのシェアは海外メーカーとしては格段に大きいシェアです。ほかに、ビナマツダ、フォード)、ホンダなどが海外メーカーとしてシェアを持っています。

ハノイ、ホーチミンの道路事情

道路

ベトナムと言えば、ご存知のようにハノイやホーチミンといった都市でバイクがあふれかえっているイメージです。バイクが道を占領していて道路が整備されていないイメージが強くあります。
そんな状況で自動車が増えた場合、益々交通が渋滞する可能性も否めません。そうした状況もあって運輸省も政府も自動車産業に対してあまり積極的な政策を取っていないというのも現状です。

日本の自動車産業の進出の現状

トヨタの進出は大きく、ベトナムで自動車を製造販売しているのですが、今後2018年にASEAN域内で関税がゼロになることにより、タイやインドネシアなどの安い完成車がどんどんベトナムに入ってくることになります。
実は、タイでは、「アジアのデトロイト」とも言われるほど、日本の自動車メーカーによる生産が沢山行われています。そこから今度はベトナムに車が入ってくる可能性が高くなってきています。ベトナムに進出している日本の自動車メーカーも危機を感じている状況です。

進出の課題と方向性

方向のイメージ

ベトナムでの今後の自動車販売台数の拡大は誰もが将来的には見込めると考えています。しかし、そうした状況で、日本の企業もベトナムでの生産を将来的に控えることにもなりえません。 そこで、ベトナムで自動車の普及がさらにもっと急速に進むことを願わざるをえません。そのためにはベトナム政府が道路などのインフラ対策を真剣に行わないといけない状況にきています。

ベトナムでの自動車産業の推進によって自動車部品を安く生産できるよう、政府の自動車計画も待たれています。自動車部品は現在の所8割をまだ輸入に頼っているベトナムです。自国で安く部品から生産できるように産業として推進されていくことが望まれます。

ビジネスチャンスと投資及びビジネスリスクについて

今はベトナム政府の自動車計画への取り組み待ちという状況ですが、ビッグチャンスがあることには間違いありません。若い世代が多いベトナムでは必ず市場も拡大していきます。政府の自動車産業推進の計画を待ちながら投資を考えていきたいものです。2018年のASEAN域内関税ゼロまでにもう少し時間があることに期待してみたいものです。
しかし、やはりタイ、インドネシアからの完成車の流入については避けられず、厳しいビジネスリスクもありますので必ず視野に入れておく必要があります。

ベトナムの自動車産業の現状と今後について

現在の所、あまり推進されていない自動車産業に今後は期待するとともに、ベトナムの強みを活かした企業展開も必要なのかもしれません。タイ、インドネシアなどとの競合となると難しい点からトラック生産に特化して行っていくのも一つのビジネスチャンスかもしれないと言われています。多方面から慎重に考えて取り組むことが必要です。

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