ベトナムの繊維産業の現状と今後の展望

      2016/05/21

ベトナムの繊維産業

ベトナムの繊維産業はアジアでも中国に次いで活発なベトナムですが、古くから国内の産業を支えてきた産業でもあり、繊維産業はベトナム経済の中でも大きな位置を占めています。2000年から国外への輸出も増え、アジアの繊維マーケットとしてアパレル会社やメーカーがベトナム国内に工場を設け世界的にもベトナムは、環太平洋連携協定(TPP)に参加した事もあり、世界では屈指の繊維センターでもあります。

繊維産業への海外直接投資においてはASEANにおいて一番の中国に次ぐ衣類輸出国でもあります。日本の繊維製品主要輸出国と輸入額を見ると中国が圧倒的に多いのが現状ですが、今、海外の会社がベトナムにアパレル企業や服飾産業の工場を持つなど世界の繊維産業、服飾アパレル産業から大きな注目を浴びています。

織物産業が伝統文化だけに繊維製品生産はベトナム人に

繊維のイメージ

人件費のコストが安く低価格で繊維製品生産を実現可能なベトナム、国民の平均月収は約日本円で3万円から6万円位になり日本やその他の先進国に比べるとまだまだ安いベトナム。中国での生産割合が高くなってきて、人件費もその他のアジアの国より安いベトナム、織物産業が伝統文化だけに繊維製品生産はベトナム人に向いているということもあり、ベトナムの繊維・縫製産業に注目が集まっています。

また、輸出の拡大においても繊維産業では中国を抜いてアジアで一番活発な国になると予想されています。そのためTPPに参加したベトナムの繊維産業は世界的にももっと受注が増え、国内を支える大きな産業となりつつあります。ベトナムの繊維産業は縫製が中心ですが全ての国のマーケットとなる日も近く、隣国の日本や韓国、また米国を初めとした衣料メーカーや服飾産業からベトナムの繊維産業に大きな注目を得ています。

その他のアジアの国の繊維産業

そんなベトナムですが国内で繊維産業関連会社は6000社以上あるようです。繊維製品・履物などの軽工業品なども含めてかなり充実していることがわかります。台湾の繊維産業や韓国の繊維産業はベトナムのようには伸びずに人件費も上がり、ベトナムで生産したほうが品質も良いといった条件が重なりアジアの繊維産業をリードしています。

ベトナムは全体的な経済指数も急上昇中

ベトナムの賃金UP

一方日本国内の繊維産業ですが消費不振によって不景気が続いています。また、日本国内のアパレルメーカーや服飾産業も国内での精算はコストが高く材料費も高いため割に合わないので中国やベトナム、タイでの生産を好んでいます。第二次世界大戦後は繊維品は日本の輸出の中でも大きな産業でしたが、今の国内の繊維産業はベトナムに比べると元気がありません。またベトナムは全体的な経済指数も急上昇中でGDPも2000年から約5倍以上となり、更に経済が活性化しています。

そんな安く信頼性のある精算を可能としているベトナムですが、原料は中国やインドネシア、タイなどのほうが安く原糸や生地の生産地は中国、インドネシアで、原料不足という懸念もあるのが実情です。

問題視されている高い関税

関税官のイラスト

また輸出に関しては海外での高い率の関税に苦しんでいるのが現状です。その50%以上が米国で、20%が欧州、その次に日本が10%となっていて米国への輸出にかかる関税は18%とかなり高く問題化しています。

原料と税金の問題もあるベトナムの繊維産業

原料と税金の問題に直面しベトナムは新たな取引先や原料の確保が最重要となっています。アジアでは原料をそのまま自国でダイレクトに調達が可能な国はタイ、インドネシアのみとなっています。ベトナムは人材、技術があっても原料が不足するであろうとも今後の展開も懸念されていますが、中国シェアが圧倒的に多い日本でもベトナムからの輸出が増えています。
日本との貿易でも中国からの繊維製品のシェアは減少傾向にある反面ベトナムからの輸入が相次いでいるのが現状です。

まとめ

ベトナムでの繊維産業は、人件費が安く品質も良いといった条件が重なりアジアの繊維産業をリードしているのが現状です。しかし原料問題等を含めて関税問題をクリアすることが出来ればアジアでも2位の繊維産業を今以上に発展させていくことが可能な環境が整っていて世界的に注目されています。

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